3・15という数字は、鉄道ファンにはどこか胸騒ぎを覚えさせる数字である。

旧国鉄時代からダイヤ改正は三月十五日前後に行われてきた。今年は三月十四日、料金改定と合わせて実施される。

最大の関心事は、旧国鉄時代から走り続けてきた車両の引退である。客車列車の時代が終わったときには、多くの機関車が姿を消した。

さらに近年は地方ローカル線でも車両の世代交代が進んでいる。八高線でも長く主力であったキハ110系が、新型車両への置き換えで姿を消しつつあると聞く。

車両の世界も外観からは知り得ない変革の波の中にあるようだ。インフラの老朽化に伴う更新や信号システムの改革など、鉄道は着実に姿を変えているという。

今日はそのような日を前にして、まだ会えるかもしれないと思い八高線の群馬藤岡付近に出かけた。

このあたりからは赤城山がよく見える。前橋に生まれた人間にとって赤城山は特別な山である。生まれてこのかた、ずっとそこにあり、変わらず平野を見下ろしている山だ。いわば上州の御神体のような存在である。その山を背景に、引退していく車両を一度同じ画面に収めておきたかったのである。

いつもの神流川鉄橋付近で待ち構えていたところ、同好の士が少々邪魔な位置に乗用車を駐車してしまった。もっとも、移動を促す立場でもない。窮屈ながら何とか撮影する。

その後場所を移し、赤城山を背景に撮ろうとしたところ先客が二名。ところがその方々は、すでに待機している撮影者の位置を教えてくれ、構図の邪魔になることまで知らせてくれた。撮影後には「邪魔をしてしまいました」とわざわざ挨拶までいただいた。

それぞれ鉄道敷地に対しては適切な位置である。しかし撮影者への配慮を忘れない行動である。マスコミに伝えられるような身勝手な輩とは、明らかに違う。撮り鉄はこうでなくてはならないと思う。

今日の車両はキハ110系。どうやら最後の別れには間に合ったようだ。

この形式の車両には、小海線、飯山線、羽越本線、釜石線、そして八高線とさまざまな線区で乗った思い出がある。やはり一抹の寂しさはある。

そして平成生まれ(1993年)の引退。
どこか身につまされるのである。