職場は、井野川と正観寺川という小さな河川の合流点にある。この辺りには水鳥をはじめ、鯉や亀、蛇といった水生動物、さらにはげっ歯目の野生動物までもが川沿いを伝ってやってくる。

最近は、猫も姿を見せるようになった。最初に来た猫には「タマ」と名付けたが、近頃は見かけない。代わりにスタッフが「ネコキチ」と呼ぶキジトラや、「ニコラス」という名のシャムトラが顔を出すようになった。

いずれも飼い主は不明だが、べったり懐いているわけでも、かといって過度に警戒する風でもなく、ふらりとやってくる。こちらもまた、適度な距離を保って付き合っている。

自分の年齢を考えると、猫を最後まで責任を持って飼える時期はもう過ぎてしまったのかもしれない。だからこうして、ただ眺めている。

猫の良さは、犬と違って容易になびかないところにあると思っている。飼われている猫であってもあくまでマイペースで、犬のようにまとわりつかない距離感が心地よい。
かつてはもっと自由気ままだった猫たちも、時代と共に事情が変わり、現代ではやや窮屈な生活を強いられているらしい。

小学生の頃、茶トラを飼っていた。夜になると外へ抜け出し、近所の猫と乱闘を繰り返しては傷だらけで帰ってくる。見かねた祖父がどこかへ連れて行ってしまったが、その先が穏やかな土地であったかどうかは、今もわからない。

今、目の前の猫を眺めながら、自分自身の気ままで身勝手な半生を振り返ってみる。まだ、もう少しだけ時間は残されている。さて、どうしたものか。
そう思いながら、朝のコーヒーをすする。