もとは自動車での旅行を計画していたので馬籠峠もまさか徒歩で超えるなど頭にはなかったのだが列車での移動となり、最初はバスでの峠超えで計画を立てた。
しかしこの峠はハイキングコースということらしいし、山道8Kmということで自分でも歩けるかもと計画を立てた。昨今クマの事件が多いので観光協会にも照会したり準備。

前泊の中津川からバスで移動し、馬籠宿内を散策後午前10時に高札場を出発。いきなり石段に出くわす。中山道といえば江戸時代とはいえ主要幹線道のはず。いくら自然に帰ったとしてもこの急坂は何だ。

木曽路とひとくくりにしているが奈良井宿を境に北方向へは信濃川水系に入る奈良井川が梓川と松本で合流、犀川となって千曲川と合流しながら新潟の日本海へそそぐ。
一方鳥居峠を越えて藪原に入ると木曽川水系となり伊勢湾に向かう。鳥居峠には中央分水嶺が通るといった具合で地勢は一様ではない。いくつもの峠を越すことになり馬籠峠が最初の難関である。列車も中央西線はトンネルと橋梁、さらにカーブと険しい道のりだった。
記憶の中では同じ川に沿って走ったとばかり記憶していたが大違い。大変な交通の難所で幕末に降嫁された和宮様もさぞ心細かったであろう。

こちらも外国からの旅行者が多いが彼らはよく心得たもので足支度は万全だ。聞きなれない言葉を聞きながら雨上がりの少し滑る石畳を上ったりしながら針葉樹林の中を馬籠峠に向かって進む。

途中小さな集落を通過、登録文化財の「今井家住宅」がひっそりと佇む。

はたごの跡も残る。
やがて馬籠峠に到着。

ここは一般道と交差している。いよいよ下りで妻籠まで少し気が楽になったが下りは下りで足を取られ転倒しないように慎重に下る。

森を抜けたところに「一石栃立場茶屋」があり一休み。宿場と宿場の間の休憩所といった集落の跡である。

立派なしだれ桜が数本あり、開花の時はさぞ美しいであろう。

外国人に混ざりお茶を頂き、再び歩き出す。

沢伝いの道で紅葉の鮮やかな赤が生える。

水害の影響で所々通行止めがあり、迂回を余儀なくされるが男滝、女滝付近は大きくう回して下る。

まもなく「大妻籠宿」につく。ここまで約2時間。県宝の「藤原家住宅」を見学。十七世紀中期の建築とされる縄で垂木を縛るという古い工法は先日飛騨地方で見たものと同じだ。柱にはちょうなの跡が残る。少し高台にあるので上るのもきつい。


下って次ぐ蕎麦屋「金剛屋」を見つけ昼食。太いしっかりとしたそば。

腹ごしらえと小休止をとっていよいよ妻籠宿に向かう。

昭和9年完成のアールデコ調の装飾のある妻籠発電所の脇を抜けるともう妻籠宿。