2026-09-08

一日の撮影設定を振り返る

先日、霧の中で撮影した写真を整理していて、Windows 11のエクスプローラーを「詳細」表示にしてみた。

これまでも拡張子を見分け、RAW、JPEG、TIFFなどを整理するために使っていたが、表示項目には絞り値、35mm判換算焦点距離、ISO感度、撮影日時などもある。残念ながらシャッター速度は見当たらなかったが、項目ごとに並べ替えてみると、これだけでも自分の撮り方がかなり見えてきた。

焦点距離、絞り、ISO感度、

まず焦点距離順にすると、SIGMA 20-200mm F3.5-6.3 DG Contemporaryのほぼ全域を使っていた。最長は175mmで、200mmいっぱいまで使った写真はない。一方、いわゆる標準ズームである24-70mmの範囲に収まったものは、全体の半数に満たなかった。

それでも、自分が少し前後に動けば24-70mmで対応できたのではないかとも考えた。しかし、撮影時刻順に並べ直してみると、それも難しそうである。

ある場面では、66mm、43mmと撮った直後に175mmへ伸ばし、その2分後には20mmを使っている。別の場所では、わずか数分の間に39mm、96mm、86mm、46mm、72mm、106mm、64mmと、焦点距離が目まぐるしく変化していた。

24-70mmと70-200mmの2本で撮ろうとすれば、レンズ交換が頻発する。20mmで撮った画像には、さらに広角レンズが必要になる。カメラを複数台用意し、それぞれに違うレンズを装着しておけば交換は避けられるが、複数のボディとレンズを持ち歩くことが、身体にも財布にも優しくないことはいうまでもない。

車の中に24-70mmを入れたバッグを用意していても、実際にはほとんど出番がない。路上駐車では何かと気ぜわしく、車へ戻ってレンズを交換する余裕もない。その間に霧は動き、光も変わり、列車なら通り過ぎてしまう。結局、そのときカメラに付いているレンズが、実際に使えるレンズなのである。

高倍率ズームとレンズ交換頻度

焦点距離の平均値や中央値だけを求めても、このことは分からない。広角と望遠をそれぞれ何枚使ったかだけでなく、それらを時系列でどれほど頻繁に往復しているかを見ることで、必要な機動力が浮かび上がった。

なぜこれほど焦点距離が変化するのか。それは、一つの被写体だけを追い込んで撮っているのではなく、周囲を含めた記録と、その中で目に留まったディテールの両方を狙っているからだろう。

広角でその場所の空気や地形、霧の広がりを残した直後に、望遠で遠くの花や枝を拾う。鉄道写真でも、列車だけでなく線路のある生活景観を写し、次には列車や標識、駅の一部分へ目を向ける。撮り方としてはスナップに近い。いわば、場所を読み取りながら記録するスナップである。

一つの主題と向き合うポートレートや商品撮影などでは、短時間に20mmと175mmを往復することは少ないだろう。プロであれば複数のボディを用意することもできる。仕事として納品する写真と、一人で歩きながら偶然出会ったものを記録する写真では、必要な機材が違って当然である。

レンズに求められた明るさ

次に絞り値順で並べ替えてみると、選んだ42枚のうち32枚がF10だった。残りもF8、F9、F13であり、開放付近で撮ったものは一枚もない。もともと私は、背景を大きくぼかすより、その場の様子をできるだけ写し込んでおきたい絞り込み派である。

そう考えると、明るいレンズを絶対的にありがたがる感覚には、フィルム時代の残像もあるのかもしれない。当時は撮影途中でASA感度を変えることができず、F2.8とF5.6の差が撮影できるかどうかを左右した。現在はISO AUTOがあり、高感度画質も向上した。さらに現像時にはDeepPRIMEも使える。少なくとも日中にF8からF10で撮る私にとって、開放F2.8の優先順位は以前ほど高くない。

高倍率ズームを使うことを、明るい高級レンズを買えないための負け惜しみにはしたくない。今回、自分の撮影データを並べ替えたことで、SIGMA 20-200mmを使い続ける理由が冷静に確認できた。

年齢、体力、移動方法、趣味として使える費用、路上駐車時の慌ただしさ。そして何より、周囲の記録とディテールを短時間に行き来する自分の撮り方。これらを総合すれば、一本で20mmから200mmまでを扱えることは、画質と並ぶ重要な性能である。

気になる解像力

今回の霧の中でも、草花や枝の細い線を失わず、しっかり描写してくれた。便利だから仕方なく使うレンズではない。必要な瞬間に必要な画角を選び、実際に写真として持ち帰れる。写真は、まず撮ってなんぼである。

だからといって、このレンズが誰にとっても最適というわけではない。撮影対象も撮り方も人それぞれである。焦点距離を固定して自分が動く人もいれば、浅い被写界深度を積極的に使う人もいる。そのような人には、単焦点や明るいショートズームのほうが適しているだろう。

レンズを買い足す前に

レンズを買い足したくなったら、新しいレンズの作例やレビューを見る前に、まず自分が一日に撮った写真を調べてみるとよいかもしれない。

焦点距離順に並べれば、自分に必要な帯域が見える。絞り値順に並べれば、本当に必要な明るさが分かる。時系列順に戻せば、レンズ交換がどの程度発生するかも想像できる。オートモードで撮っている人なら、カメラが選んだ設定から撮影環境の傾向が、より素直に現れるかもしれない。

メーカーや販売店としては、高倍率ズーム一本で済まされてしまうより、単焦点、大口径標準ズーム、望遠ズームと買い足してもらうほうがありがたいだろう。高倍率化には光学設計上の難しさもあるから、営業上の理由だけとはいえないが、メーカーが推奨する「王道」がすべての人にとっての最適解とは限らない。(笑)

とはいえ高性能レンズはやはり持っていたい。

私自身、もともとはミノルタユーザーである。プロ用機材への憧れを出発点にせず、プロとアマチュアでは撮影の目的も条件も違うと考えてきた。そのためか、純正レンズにこだわらず、SIGMAやTAMRONを選ぶことにも違和感がない。

一般に標準レンズといえば50mm前後を指す。しかし、撮影者の視線に最も自然についてくるレンズという意味なら、SIGMA 20-200mmは私にとっての標準レンズなのだと思う。単なる便利ズームではなく、広角と望遠を往復する視線を止めないレンズである。

もっとも、これですべてが合理的に片づくわけではない。

SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN IIをαに装着すると、それだけで気分が盛り上がる。大きな前玉、太い鏡胴、手にしたときの重量感。いかにも良い画像が撮れそうな気持ちになる。GMではなくSIGMAを選んだのも、「MADE IN AIZU」のレンズを一本くらいは持ちたいと思ったからであり、その期待は裏切られていない。

データを並べ替えれば、自分に必要なレンズは意外なほど冷静に見えてくる。

しかし、趣味の道具は必要性だけで選ぶものでもない。

機械としての魅力には、やはり抗いがたいものがある。