最後となるであろう住宅省エネルギー技術講習会の講師を務める。2020年よりいよいよ住宅省エネ規制がスタートする。地域の工務店の準備は大丈夫だろうか。
大工さんの腕の見せ所ではない部分の断熱化工事。素直な気持ちで目に見えない部分よりノミの冴え、かんなの冴えを自慢したいはずのベテランの大工さんにとっては決して楽しい仕事ではないはずだ。しかし時代の要請に逆らえない。断熱化工事専門の職人が成立し大工仕事とすみわけができればよいのだが工務店の経営者はむしろ逆に多能工を求めている。仕事の効率だけを考えれば良い点もあるのだが特に伝統的な日本建築においてはクオリティーは間違いなく下がる。面倒な時代になったのも事実だ。

設計者にとっても克服し無くてはならない課題だ。とにかく外皮面積を小さくしてつまりマッチ箱、窓を建築基準法に適合するまで小さくすれば断熱性能は高くなる。簡単なことだ。ただしそれは生活の器だろうか。生活の器のあるべき姿と両立させるために設計者の手腕が問われる時代だ。