「まえばし」と発音するのは地元民ではない。「まえばし」と発音する。
些細なことである。しかしNHKがそう発音すると変に癇に障るものだ。
もっとも今の若い人は「まえばし」と発音するかもしれない。
新しい市長もそう発音する。了見の狭い話だが彼は吾妻郡の出身だから無理もない。
前橋も市域が膨張した現在いまさらかもしれないが、生粋の前橋生まれには違和感が残る。
高崎に経済力で完全に水をあけられている。
文化面では絶望的に近い。
群馬交響楽団の根拠地である高崎、しかも市民運動によって誕生し、その中心的な活動をした一人が前高崎市長の松浦氏であった。
絵画では「福沢一郎」「山口薫」を輩出している。
美術館は故井上房一郎氏の働きかけによって出来た県近代美術館を始め高崎市美術館などが存在している。
新市長の選挙公約で建設中の前橋美術館が規模縮小だそうだ。
廃業した西武系の商業施設を改修して開館するという時代に即した作り方だと思っていたので少々以外だ。
今は地元の人にしか知られていないかもしれないが「南城一夫」「清水刀根」「近藤嘉男」「小見辰男」らの市民生活の歴史に密接な関係のあった作家たちの作品が死蔵されている現在、これらを展示することは前橋の文化の歴史を語る上で重要なことである。
文化を「むだ」と捕らえれば簡単な話である。効率一点張りの現代だからである。
高効率のはずが福島第一原発のようにとんでもないしっぺ返しを今我々は受けている。
市の財政再建が直近の課題であるとはいえ、戦後の貧しい時代に群馬交響楽団が出来たように心の豊かさを求める気持ちを失ってはいけないのだ。
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