大利根町の住宅が完成して引渡しの手続きに立ち会う。
すぐ近くに13年ほど前に手がけた住宅がある。比べると進歩したこと、変わらない事,いろいろ感じる。

こだわってきたのは素材そのものを表現すること。手仕事のあとを残すこと。たとえば玄関の扉だけは既成品を使わず誂えで作ってきた。もちろんやむおえず既製品を施主の要望で使ったこともあるが。しかし玄関にふさわしい品質の建具を作るのは職人の技術に頼る面が多いから大変。でも家の顔だけにこだわりたい。

木構造の住宅を設計すること70数棟に達したが近年耐震偽装に刺激されたわけではないがあえて木造住宅でも構造計算を導入した。
構造事務所は計算が煩雑で規模が小さいから決して楽な仕事ではないと思うがよく積極的に協力、参加してくれる。

神戸淡路大震災の復旧の支援に行った際、筋かいの接点破壊によって多くの倒壊を目撃した。このことが軸組工法と合わないのではとの疑問から面材耐力壁を多用してきた。結果モルタル塗りの外壁でもほとんど亀裂等の経年劣化を起こしていない好結果ももたらした。

しかし最大の問題は合板の接着材に含まれるホルムアルデヒドの影響を免れないことだ。工事中の放散や換気によって濃度を基準値以下に出来ることはわかった。しかし一般に短期間に仕上げるハウスメーカーや分譲住宅などでは管理が難しいと思われる。(手がけることも無いと思うが)

そこで構造計算の導入によってやみくもに筋かいを入れることなくつりあいよく配置することが可能になったので、構造設計の選択肢の一つとして耐化学物質対策が必要な場合は筋かい工法もとり上げてみたい。