2026-05-22
いつのまにかコーヒーミルが3つ溜まった。最初に買ったのが1950年代、つまり自分と同年代の旧西ドイツ製の手動ミル。次に国産の電動ミル。そしてドイツブランドの中国製ミル。
電動式はとにかく手軽だ。朝の忙しいときなど、出発の準備をしながらでも事がはかどる。国産のミルは機能性に優れるが、筐体のデザインが今一つ。ドイツブランドの中国製はデザインに飛びついたものの、機能面では国産に一歩譲る。 いずれにしても、このところ電動ミルの出番が多かった。
旧西ドイツ製のミルは仕事場の湯沸かし室に置きっぱなしだったが、整理のために自宅に持ち帰り、しげしげと眺めてみた。ごく普通の木箱付きのミルである。
以前も出自を調べてみたが、なかなか確信までたどり着けなかった。そこで今回はAIの力を借りて深掘りしてみることにした。安易に情報が手に入ると揶揄されることもあるAIだが、こちらが的確な条件を示せば、自分の検索能力を遥かに上回る深掘りを見せてくれる。
「LEHNARTZ MOCCA-MAHLWERK」という銘をたどっていくと、出自はドイツ・ノルトライン=ヴェストファーレン州の都市レムシャイトにたどり着く。デュッセルドルフとケルンの間に位置し、刃物で有名なゾーリンゲンも含め、金属加工において長い歴史を持つ地域だ。
工業製品でありながら、まだ金物職人の手技の跡を感じさせるホッパーの蓋の曲線など、中世以来の欧州の伝統を彷彿とさせるものがある。 AIによれば、レーナッツ社(LEHNARTZ)は1867年にカール・アウグスト・レーナッツが起業。「赤い雄鶏」がトレードマークで、「MOCCA」は極細挽きが可能な精密な刃を意味するという。
この道具は70年の年月を超え、今もなお現役で立派に働ける。変化の著しい現代の道具より、じっくりと付き合うことができるものに、自然と目が向く。ゆっくり挽くと、豆を切り欠く音とともにコーヒーの香りが立ち上ってくる。お湯の温度は少し低めに、これまたゆっくりと落とす。 まったりとした、コクのあるコーヒーの味に仕上がった。そう思う。
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