誕生日が近づくと、「元気です」という言葉とともに、吉田拓郎のアルバム『元気です。』のジャケットが自然と思い浮かぶ。今日は久しぶりに、そのLPを再生した。
歳を重ねても元気でいたい――ごく当たり前の願いである。
1970年代当時、流行歌といえば、ベテラン歌手がプロの作詞家・作曲家による楽曲を歌うのが主流だった。一方で“フォークソング”と呼ばれた新しい領域には、感情を飾らず、日常をそのまま言葉にする表現が芽吹いていた。
とりわけ、ボブ・ディランの影響が色濃いとされる吉田拓郎の、何気ない日常をそのまま歌にした作風は鮮烈だった。反戦フォークの硬派な潮流からは、どこか冷ややかに見られていたのかもしれない。しかし、等身大の感覚に寄り添うその歌詞には、当時の若者の気分が確かに重なっていた。
あの頃に戻ることはできない。
ただ、漠然とした不安と希望が同居していたあの時代を懐かしく思い返しながら、気づけば自分も後期高齢者の入口に立っている。新たな不安と、新たな希望。その両方に向き合わねばならない今、拓郎の「元気です」を聴くことは、かつての自分を励まし、同時に今日の自分を奮い立たせる小さな儀式のようにも感じられる。
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