前回、高山を訪れたのは自動車移動で郡上八幡から金沢までの途中に寄ったので駅前の印象が記憶は定かではないのだが旅館は廃業直前のブルーのタウトも宿泊した長瀬旅館という幸運に恵まれた。夜遅く着いた高山駅前はすっかりホテルが立ち並び大きな地方都市といった風情がある。ホテルは外国人環境客目当てに作られたのであろう、最初に訪れたときは高山グリーンホテルくらいしかなかった。寿美吉旅館に泊まった時は朝障子にはたきをかけている音が聞こえ、懐かしい思いに浸った。 数度訪れているとはいえ、そのたび気が付くことがある。外国から来た観光客の見世物にしておくにはもったいない街である。つっけんどんなホテルのフロントには辟易したが気を取り直し早朝重伝建地区を散歩する。まだ地元の人の姿も見えず静まり返っていた。

一人のイタリア人の青年がキャノンの大きなカメラで街並みを撮影している。邪魔にならないようポジションを譲りながら歩いているうちに片言の英語で話をする。日本の建築を北から南まで歩いているらしい。「妻籠」「馬籠」に寄ってきたとか。彼曰く朝7時が勝負だとか。たしかに8時を過ぎるとにわかににぎやかになってきた。9時には旗を持ったガイドさんが引率した団体が街角を横切る。久田屋は最初に訪れたころはディスカバージャパンのポスター通りの旅館だった。木をくりぬいた大きな水槽が店先にあったが今回はもうなかった。街路の側溝はきれいな水が勢いよく流れている。この清潔感は代えがたいものがある。行ったり来たりして朝の散歩を終わりにする。