
コンクリートは建築では身近な材料。歴史も古い。
セメントと石と砂と水と添加物の混合物で水和反応と呼ばれる化学反応で固まる。
化学反応が始まって1時間ほどで凝固しはじめ約1ヶ月で所定の強度が発現する。もっとも外気温に左右されるし、実際には現場では早期型枠解体のために配合するセメント量増やしたりして1週間で80%くらいい強度が出ることも少なくない。
外気温に関しても冬期に強度の発現が遅れるので温度補正と称しわざわざ強度を上げ工期に間に合わせるきらいがある。じっと待っていればよほどの寒さでない以上はいつかは強度は出る。弊害としては高強度ほど施工に注意しないと亀裂が多くなる。(と思う)。うっかりしていると防凍剤(塩化物)などを散布する監督がいるがコンクリートのアルカリ性を損なうので厳禁である。(塩化物出ないものも存在する)
大敵は寒さだけではない。夏の日照りのほうがより深刻である。朝、型枠にちょっと水を撒いたくらいではすぐ蒸発してしまう。夏素手で鉄筋を触ってみればよい。まず火傷をする。コンクリートが水和反応に必要とされる水分が蒸発するとドライアウトといった減少が起こり十分強度が発現しなくなったり、表面に亀裂を生じる。これは強度の発現が早すぎるのが原因として考えられる。とにかくコンクリート工事前には仮設水利の確保が重要である。
また強風のときも表面の熱を奪われ亀裂の原因になるから防風処置も必要だし。打設後はシート等で覆う必要もある。
といった具合にコンクリート打設に付き合うと現場での品質管理が非常にデリケートなものであることはわかる。
いくつか記憶に残る現場がある。
当日が台風襲来の予測。200立米ほどの打設量だったと思う。打設を始めたら中止は非常に難しい。現場所長の判断一つで大変な損害を出すことにもなりかねない。幸い台風はそれたが腕組みをしたまま東の空を眺めていたことを覚えている。指揮者の判断力と胆力がいかに大切なことだったか。無事打設を終えた。
農協の事務所のコンクリート打設だった。朝から打設を続けたが夕方に差し掛かりあたりは真っ暗。投光器の下での打設。足元の水たまりは氷が張り始める。それでもスラブのコンクリートに埋まった長靴はポカポカ。水和反応を足先が経験した。
雪の朝、チェーンを巻きながら現場に向かった。打設前のスラブには雪が薄っすらと積もる。現場員は総出でプロパンガスの火炎放射器で除雪。こちらは鉄筋をあぶらないようついてまわる。薄日がさしてきてなんとか雪も水和反応も手伝い無事終了。その小学校も先年ついに廃校になってしまった。 高速道路から今も姿を確認できるがさびしいものである。
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