
3年に一度の定期講習。運転免許の更新講習のようなものだ。テキストの字が小さくて読めない。老眼が進んだな。もっともこの講習今回が最後かもしれない。
この講習、全建築士に義務付けられているわけではない。建築士事務所に登録されている建築士のみ義務があり怠ると戒告処分である。本来建築の設計・工事監理者の技術資格であるはずなの講習を受けない建築士は建築士といえるのだろうか。はなはだ疑問が残る。一級建築士の免許を取得して40年、当然法規も建築工法や建築材料、構造計算基準すべて大きく変わった。まがりなりにも建築設計の現場に立ってきたから今日の考査もすらすら解けたが設計実務経験のない建築士がいきなり講習を受けてもおそらくどうにもならないだろう。
建築士試験制度も変わるのだそうだ。在学中に受験できるようになったらしい。2年間の実務経験を持って免許が有効になるとのことだが建築士試験は学問ではない。
大学は建築という学問を学ぶ場所であってほしい。文部科学省の所管のはずなのに建築士は国土交通省。学生欲しさに国家試験の合格率を大学が競うようなことになったら本末転倒である。
そもそも建築基準法がすべて正しいとも思われない。時代とともに変わる建築と合っていないことも多い。大地震のたびに構造設計規定もころころ変わる。建築関連法規を丸暗記するのではなく、建築基準法の精神や根拠を批判的な視点で研究して欲しいのだ。社会にでれば今日の講習のように法令順守のことばかり言われる世界である。
構造にしても構造設計と構造計算は違う。ぜひ構造設計を学んでほしい。そして現代の建築家として最も大切な職能倫理をじっくり研究してほしい。でなけれな建築経済の中のたんなる建築デザイナーで消費されてしまうのだ。
ある有名大学教授の口から建築士受験が学生の最大関心事の一つになっていると聞かされた。大いに危機感を感じる。
コメントを残す
コメントを投稿するにはログインしてください。