来月移転開院予定の高崎駅東口「セキールレディースクリニック」の敷地内には樹高20mを超える「メタセコイヤ」の巨木がある。
高崎市の保存樹木にも指定されている。

今回の建設工事はこの維持保存が大前提となって計画された。この樹種は非常に古い種類に属し、1949年に皇室が中国から譲り受けた子孫とされる。「生命の象徴」として大事に見守るとのことである。

岩神町の前橋公園から敷島公園へ向かう道路には桜並木が続いていた。いつ植えられたのかは分からないが現在の富士機械が戦前の染色工場や中島飛行機の工場であったことから関係があるのかもしれない。前橋工業高校が郊外に移転してしまったが桜並木はしばらく残っていた。
まず突然前橋公園区間が伐採され、今回旧前橋工業高校前もすっかり伐採されてしまった。交通の不便ということだ。ベイシアの開店による交通集中に対応するためだそうだ。確かに歩道を狭め、枝が車道まではみ出してはいたが戦前からの町の歴史を伝えていたのだと思う。前橋工業高校の入学式の日、桜吹雪の下を初めて登校したときのことは今でも忘れられない。

山本龍市長のブログによれば前橋公園内でも大木を伐採したとのこと。前橋市はどうもこのような機微に疎いようだ。
所詮樹木ではある。寿命もある。しかしこの街に暮らしてきた人間には街への愛着の根拠の一つなのではないだろうか。

石川橋も姿を変え、すっかり様変わりしていく旧市街地。広瀬川河畔も大きなマンション建設でその雰囲気を一変していくだろう。
市街地への再人口増加もコンパクトシティのためには重要とは思われるが、街の歴史を語るものをそう拙速に壊してはいけないと考えるのは歳を取ったせいであろうか。