最近、開戸系のドアより引戸系のドアを設計で取り入れることが増えている。
考えてみたら自動車も後部席は引戸のファミリーカーが多い。
若いスタッフの話ではショッピングセンターなどで後部席に載せた子供が不意にドアを開け隣の車を傷つけたり、通行人に怪我をさせたりするのを防止するのに有効との判断が一般的なのだそうだ。

現代の日本の住宅デザインはまさに百花繚乱とも言う状況が続いているが、面白いのは必ず上下足履き替えのあることだ。
農作業で泥の付いた足を清潔にしないと気がすまないDNAがそうさせるのか。狩猟民族の人たちは靴をベッドに入るまで脱がないそうだ。

下足を脱ぐことで床座の生活が可能になり、椅子式の生活が持ち込まれ、洋風の生活になっても、しかしまだ家の中ではスリッパに履き替えても下足では暮らせない。
開戸は社寺建築では用いられてきたが軸組工法の伝統建築では引戸が主流であった。特に蒸し暑い夏を過ごすためには通風のために開放的な、可変性のある空間がずっと続いてきた。
一方、日本よりずっと寒い欧州などでは寒さ対策のために小さな窓、組積造のための建具の寸法の限界も有り、開戸、又は上下窓が主流であった。

南欧風のスタイルとかカントリー調とか言いながらしっかり引き違いサッシが入っていたりして日本らしい。
内部建具は一旦開戸系に移行したかに見えたが最近、引戸系が増えてきたようだ。

ちぐはぐさはあるにせよ、ようやく日本の暮らしに合ったものに収斂してきたということだろうか。
最近、住宅建築のDVDを見続けていたら、そんな傾向が感じられた。