長らく公私とも足として付き合っていたSAAB9.3がついに変速機が故障し、休車状態となった。
1995年、初めてSAAB社の900に乗った。2004年から9.3と乗り継ぎ19年にわたってSAAB車と行動を共にした。
デジタル画像を振り返ってみるとその時々の出来事が鮮明に思い出される。

北は宮城県、西は岐阜県や石川県など2台合計すると走行距離が430,000kmにも及ぶ。
仕事に行き詰まった時、意味もなく走り続けたことも有った。
今年は瓢湖まで往復500Kmの道のりを吹雪の中通った。
TV番組に登場したのは最後の花道ということだろうか。

SAABは語源が「スエーデン航空機製造会社」とのことで第二次世界大戦後、平和産業として乗用車の製造を始めた企業であった。
残念ながら小規模なメーカーで国際競争に敗れ、消滅しつつある。
特に威張ったり、気取ったところ無い素直な車で、北欧デザインの健全な形があったと思う。

外観もさることながら、特に計器盤の照明は秀逸で見ているだけでも楽しい物だった。
故障も意外と少なく、でも時には動かなくなりハラハラさせられたが、追突事故で後部をつぶしながらも乗員を守ってくれた。
エアバッグのお世話には一度もならなかったが信頼できる車であった。
排気タービンの低い唸り音が懐かしい。

SAABと過ごした19年、人生の山場でも有った。今成し得たこと、成し得なかったことを振り返る時期に差し掛かった。
そんな思いにSAABが有った風景が交差する。