
10月13日のグリーンドーム前橋で開かれるイベントでのセミナー講師を引き受けた。
エコな住まいの創り方という題を戴いている。
エコ住宅だとかいう言葉を聞くようになって久しい。
シックハウスという言葉が出始めた頃、建築主の奥様から一冊の本を渡された。
「健康な住まいを手に入れる本」という本だった。

何気なく扱ってきた住宅建材の危険性についてあまりに無知であったことを思い知らされた。
そして後に著者の一人であった「高橋元」さんとエコバウツアーというドイツの環境建築(ちょっと変な言葉であるが)の見学ツアーでご一緒することになる。

高橋元さんの訳書「エコロジー建築」から「本当に健康で快適な住宅とはを突き詰めていくと単に住宅内部空間の問題ではなく地球規模での視点でのエコロジーの概念と無関係ではないことを知った。
人類が今や地球の最大の害敵となったことは福島第一原発での事故をみれば明らかだ。
3.11の大地震によって露呈した現代人の浅はかな知識水準。
今は環境負荷をいかに小さくして生きていくことによって地球の延命を考え無くてはならない時代となった。
このことは直視しなくてはならない。
エコな住まいとはこのような時代を生きるために人類に試された最後の課題であろう。
平成32年(2020年)画期的な法律が施行される。
http://www.kenken.go.jp/becc/index.html
年間使用一次エネルギーの基準を上回る住宅の新築を禁じるという(見方によっては)法律である。
あえて厳しい言い方をした。
新築住宅は年間使用一次エネルギーの基準を上回ってはならないとすれば柔らかくなるが本質は同じだ。
来月からは本格施行に先立ち省エネ算定基準が施工され、住宅融資などのインセンティブとして採用される。
ここでは断熱性能だけではなく家電製品の積極的高性能化まで求めるものだ。
国土交通省より二酸化炭素排出の責任を負う経産省からの口出しが多いのが特徴でもある。
年間一次エネルギーを規制するということは安易な設計においては全くつまらない住宅を量産することになりかねないが我々独立系の建築士のドン・キホーテ如くの戦いが本格的に始まる。
それはさておきこれから住宅建設を検討中の市民の方々に何を伝えるべきなのだろうか。
JIA環境データシートのことにはぜひ触れてみたいと思う。
紙ベースでの見える化でも十分省エネになる。

実は毎朝体重、血圧を測っている。1キロ増えたら即摂食制限をかければリバウンドも最小限で抑えられる。これと同じだ。
季節依存型と非季節依存型を分けて考えると行動を起こしやすい。
季節依存型とは冷暖房費のことで非季節依存型とは生活全般、照明、給湯、換気などのことだ。
季節依存型消費については建築でまだまだやれることが多い。
日本建築伝統の深い庇の日射遮蔽や、敷地の微気候や屋根形態をうまく利用しての通風、換気
調湿効果のある仕上げ材など先人の知恵を拝借してのドンキホーテの戦いどころがまだまだある。

そもそも環境負荷の小さい家がエコ住宅である。
高性能家電製品てんこ盛りの家のことではないはずだ。
我慢少々、快適少々な暮らしをどう実現するか。
住宅設計のテーマが変わっていく。
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