昨日(11月14日)、新月伐採に立ち会う。

■新月伐採
新月伐採とは新月に立木を伐採することを指し、特にこの時期の新月に伐採した木は丈夫で長持ちするという説がある。
新月とは月が満ち始める時を指し、ものごとをはじめるのに良い日ともいわれる。
古代の人たちは自然現象である月の満ち欠けに神秘的な力を感じ取り、敬愛してきた。

今回の伐採は現在設計中の診療所のために用いられる柱に用いられる木である。
建設地にほど近い秩父市旧吉田町地内に縁があり、木材を分けていただくことが出来た。
建築主を山林にご案内し、選んでいただいた樹齢80年の桧が山の持ち主の手によって伐採された。

診療所の建設地はは先進技術の研究が盛んな土地柄であり、周辺はスマートグリッドシティの構想が進んでいる。
このような背景ではあるが人間の知恵の限界は知れたものである。
月の満ち欠けのように有史以前からずっと続いていることに思いを寄せて、謙虚な気持ちを持ち続けることも一方で必要なことだ。

■伐採、葉枯らし乾燥
一般に樹木は夏には水分を摂り入れ、秋から春までは水分の摂り入れは休むようだ。
この時期の木材の含水率は低くなっているので伐採には好適な時期といえる。
伐採後はしばらく葉枯らし乾燥のため倒されたまま山林で留め置かれる。
葉から樹中の水分が蒸散されるのを待つのだ。

人工乾燥が主流の現在では一年中伐採が可能ではある。
しかし木材を100°c以上の高温で水分を抽出することには疑問もある。
木材の成分の変質はないだろうか、
大工からはのみの細かい加工がもろくてやりにくいという話も伝わってくる。

住宅性能表示制度のように、住宅の評価も数値化されるようになってきた。
木材の含水率も高気密住宅では重要な基準だ。完成後の木材の変形が気密性に影響するからだ。
ただプラスチックや鋼材のような均質な性能の材料ではないことを理解しておかないといけない。