
2012ぐんまの家に「つづく家」が優秀賞受賞
所員の横堀将之が実姉のために設計した住宅である。
最優秀賞こそ逃したが、目にとめていただいた審査員各位に感謝申し上げたい。
今年の現地審査は建築主のみが対応するということになった。
建築士事務所が設計するとデザイン優先で建築主の意向を軽んじているというような風評がある。
そのため「高コスト」、「非実用的」であると。
今回入賞した作品はそれぞれ、建築主と工事関係者ががっぷり四つになって出来たものである。
作品集や展示パネルを見れば明らかだ。
その意味では審査員の方々は撮り越し苦労であったのではないだろうか。
このコンクールの応募者は全て県内の設計者、工務店である。
マスコミに登場する大手住宅メーカーではないのだ。
住宅を作るというより買うといわれるようになって久しい。
今回の作品はそれぞれ「作られた」ものだ。
ありきたりのプランを提示しないで、建築主との対話の中からつかんだ要点をまとめたプランを提示すること。
このことは設計者サイドにとっては実はリスクの高いものだ。
建築主は一般的に過去の住生活をもとにイメージをまとめている。
その常識にあえて挑戦することも時には必要なことだ。
過去に設計した数多くの住宅の例を引用しつつ、一期一会の仕事の機会に最適解を提案する努力がつづく。
作る以上、建築主も住宅建設に多くの時間を費やされている。
であるからこそ建築主は「買う」という行為では得難い感動をそれぞれ得られたとものと感じた。
一方、作る側の事情は複雑である。
このような作り方は経済行為としての住宅産業の中で、もはや主流とは言い難い。
大企業のように豊富な広告宣伝費を投入することなどできない。
しかし、ひとつひとつ、きちんとした仕事を続ければかならず仕事は有る。
我々設計者は最適解を求めて、一品生産の建具や家具を作ることも多い。
これらを製作してくれる技能者「大工、左官、屋根、板金、建具」等々の存在なくして設計図を書くことはできない。
このコンクールの成果がとかく後継者不足といわれる地元の技能者の励ましになれば幸いだ。
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