
長野での仕事に託けて長野電鉄の屋代線に乗る。3月末で廃線という情報を聞きつけ、一度乗ってみたかったのだ。
平日にもかかわらず車内だけでなく撮影の要所には三脚を立ててカメラを構える姿があちこちに見られる。
須坂駅から乗り込む。須坂駅はホームの面数は県庁所在地のJR前橋駅より多い3面5線のホームの堂々とした駅であるがどこか暗い表情であるのが気になるところだ。
駅前の食堂は昼定食が500円のところが多いのに駅前駐車場が30分100円とややバランスが悪い印象。
駅のコンコースでは地元の物産を売っているがなんとレジは駅の改札口。地方私鉄の厳しさとひたむきさを感じる。
屋代線の発車まで跨線橋の上から駅を発着する列車を眺める。ちょうど旧NEXや小田急ロマンスカーであった特急列車が発着した。
須坂駅を二両編成の列車が出発した。
結構スピードが出ている様だが路面が荒れているからかもしれない。揺れる。
沿線は新興住宅地となっていて最近のありふれた住宅が立ち並んでいる。古い電車との対比が廃線を物語っているのかもしれない。
駅と云うより停留所と言った感じの駅に停まりつつ、「信濃川田駅」に停車する。列車が交換できるの駅だ。ここでは廃車の解体作業をするのだそうだ。何か殺伐とした雰囲気が漂う。
やっと駅らしい「松代駅」に到着、高校生がどっと乗ってきて、急ににぎわう。須坂から乗ってきた二人連れが降りる。平日にチョット気になる風情・・・
無人駅に停まりつつ屋代に到着、終点。しなの鉄道の「屋代駅」に隣接。但し改札口さえない無人駅。しなの鉄道も経営が厳しい模様。
また乗ってきた列車で須坂に引き返す。
乗る気満々で須坂まで来たのに急にためらわれた。わずか37分とはいえ時間をつぶしていてどうなのだろうと自問した。
しかしこの路線はあと一ヶ月ちょっとで息を止めるのだ。
ちょっと還暦と云う一つの節目と重なり、廃線になれば二度と合えないのだという気持ちを抑えきれず乗ることにした。乗客の中にはあきらかに地元の方と思われる方が携帯電話で流れる景色を撮影していた。
それぞれの思いがあるのだろう。よそ者の自分にはうかがい知れないことだ。
鉄道の魅力は線路が続く限りどこまでも乗り継いでいけることかもしれない。
バスにはないことだ。
時間と距離がどこまでも続いていく錯覚。
短いトンネルや橋を過ぎるとき、建設当時の期待や苦労がしのばれる
しばし、ぼーっと車内の空気に浸った。
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