
先輩方からよく言われた言葉、「段取り八分」
準備を怠らず先を見ての仕事の仕方のことだ。仕事の良否は8割方段取りの良しあしで決まってしまうこと。
今朝市内の現場のコンクリートの打設に立ち会う。
「打設」というのは聞きなれない言葉だが簡単にいえば仮枠にコンクリートを充填することだ。
コンクリートはミキサー車から流し込まれるから柔らかくてするすると入っていくと思ったら大間違い。
なにせ砂利と砂とセメントと水、それに添加剤少々なのでざらざらといってよい。
そこでかつては木つちで仮枠をたたいて充填させたものだ。そこで「打設」なのだ。
今は棒状振動機等が主役だが重労働であるには変わらない。
この品質管理は実は大変デリケートだ。
打設に先立ちいくつかの試験を行う。
まずコンクリートの固さを測るスランプ試験
コンクリートに含まれる空気量の測定
後日になるが試料を6本を圧縮強度試験のために採取
塩分量の試薬の挿入
配合計画書のとおりか確認する。
またコンクリートは工場出荷から1時間程度で凝結を始める。
現場での待機時間が長いと所定の強度が出なくなる恐れがあるので返品しなくてはならない。
監理者としては緊張の連続だ。
不心得な施工者は現場で水を混ぜて固くなりかけのコンクリートをお茶漬けのようにさらさらと流し飲んでしまう「シャブコン」
でやっつけてしまうところがある。姉歯事件の時この言葉が出てきたのを思い出す。
この現場は段取りがよく、順調に所定の品質のコンクリート打設が行われた。
建築主もいそがしいさなか駆けつけ興味深く立ち会われていた。
写真はアンカーボルト類にまかれたテープの様子。
一本一本丁寧に巻きつかれてある。
コンクリート打設の際、コンクリートで汚れてナットが回らなくなるのを防ぐためだ。
もちろんあとで汚れを落とせば良いのだがボルトのねじ山に付着したコンクリートを除去するのは手間仕事だ。
今手当てしておけば後が楽。このように先を見越した仕事の仕方を「段取り八分」というのだ。
ささいなことで現場への信頼感が増すものだ。
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