インターネットの動画で加藤隼戦闘隊の一部を見る。復刻版のDVDがあるとのことでアマゾンで取り寄せた。
円谷特撮の原点ともいえる映画であり、戦時中の映画でもある。言論統制の暗黒の時代の映画のはずだが実際はかなりきれいに仕上がった内容だ。何しろ畳一枚出てこないので生活感がまるで無い。かといって敵国を侮辱する言葉も無ければ出血シーンは一つも無い。
普段の会話は語彙が少し現代と違うが現代の戦争映画とはちがい穏やかなものだ。もっとも号令をかけるシーンとなると急に口調とキーが変わるのが本物たるゆえんだろう。戦争中のことは左右翼ともきちんとわれわれに伝えていない。
さぞや戦争賛美の映画化と思っていたら拍子抜けだったのだ。
翌日ハワイ・マレー沖海戦を見る。こちらは海軍であるが主人公が兵隊である点が陸軍の将校を扱った前作とは大きく違うところだ。
大きな農家が出てきて当時の一般の生活が描かれている。
予科練の練習風景や教官の発言はいかにも教宣映画のものだが、たてまえで語る母親の表情が逆に心情を表わしている。
やはり敵国を侮辱する言葉も無ければ出血シーンは一つも無い。
比較すると現代の映画が事実を物語として捉えている感が強い。
戦死することを無言で暗示する手法に現実の死を感じさせるとともに、直接的表現でなくおもんばかるという日本的な思考という表現なのかとも思う。
いずれにせよつい60年前のことであり、断絶した現実ではないことを感じる。
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