父の誕生日と自分の誕生日は2月1日、2月4日と3日違いである。78歳と56歳になる。
この時期に毎年日頃の親不孝と不義理をわびつつ酒を飲むことにしている。若いころには及びも付かないことだが自分だって人生の後半を真剣に考えなくてはならない時にさしかかり、たまにはゆっくりと人生の先輩である父と話をしたくなる。

話題は他愛の無いものだが私の日頃の仕事内容を非常に注意して見守っていてくれるのが良くわかる。あの現場はどうなっているのか、この現場はどうなっているのかとよく現場の名前まで覚えている。
記憶力が少しも衰えていないのが頼もしい。
昔話を少し聞き出してみる。今の仕事のことも聞き出してみる。
普段気の強い母に遠慮してかとぼけたことばかり言っているようでさしで話をしているとおだやかだがしっかりとした考えを持っていることもわかる。

春には母と京都に出掛けるそうだ。父の家系は名前を呼び捨てにする。妻のことも「久米子」と呼ぶ。おばあさんとか、お母さんとか言うことが多い中78歳になる父が使うと何か新鮮な気がする。

お通しと刺身と銀だらの西京焼きとたまご焼き、赤城山の冷や4合を二人で平らげ、来年を約し帰路についた。