群馬県富岡市の市役所庁舎の外装材毀損について修理費を設計者と施工者が負担するとの報道がなされた。
木材非常に繊細な材料である。育った場所、尾根か水辺か、産地による地質の影響、さらには乾燥具合など、のこぎりで切断できそうな身近な物質ながら、ひとつとして同じ性能のものはない。慎重な取り扱い、適材適所の選択が重要である。
竣工直後から早晩このような欠陥が露呈すると思っていたが、現実になった。

発注者は責めを負わないようだが、発注者責任というものはあるはずだ。このような起きないためにはやはりなにがしかの対応が納税者のために必要ではないか。
設計者選定は公開プロポザールで行われた。
当時の審査員は
富岡市新庁舎建設設計者選定審査委員会
委員長 大野 秀敏
副委員長 菅 孝能
委 員 戸所 隆
委 員 髙橋 修
委 員 武田 隆夫
である。実施設計・監理まで見届ける責任はなかっただろうか。

修理費を設計者が支払うというのは設計監理契約外ではないだろうか。まして施工者は設計者の指示に従っただけだ。建築技術者として疑義を具申する立場であったと思うが当代一流の建築家が主宰する組織に通用する話でもないだろう。
とにかく後味の悪い話である。設計者の善管注意義務違反が引き起こす悲劇である。