八高線の走る風景を追って小川町へ。ホンダの工場が忽然と雑木林から現れる。愛車の故郷でもある。ホンダユーザーとしては今回の日産との提携が吉と出るよう祈るばかりだ。N360を始めて乗った時、二輪メーカーから脱皮を始めたばかり。一方初めて運転したのは職場の510ブルーバード。トヨタと勢力を二分していた時代だ。すっかり様変わり。もっとも50年もたつのだから。
八高線は非電化だから架線が当然ない。冬枯れの山里を走る風景は群馬でもそうは見られないものだ。

列車本数が一時間あたり上下線1本づつ。待ち時間をどう過ごそうかと思っていたらすぐ近くに「国指定重要文化財 吉田家住宅」があることを地図で確認。早速出向く。吉田家は1721年建築といわれる埼玉県最古と推定される民家。ほぼ同年代と思われる群馬の阿久沢家住宅と比べると気温差など風土の違いか幾分開放的な作りに見え、座敷には長押しが回っていることから上級階層の住まいだったとうかがえる。


現在は軽食堂を営んでいて草葺きの屋根は囲炉裏からの煙で燻蒸され、民家本来の形態が保たれている。切り餅を渡され自分で囲炉裏火で焼き、汁粉が届けられ食するという半体験型であるのも楽しい。

八高線は2025年度前半で新型車両に移行する。さすが地味なローカル線で鉄オタ騒ぎもまだない。静かに見送りたいものだ。