碓氷峠は群馬県と長野県との県境にある峠の一つで、中山道の道筋に位置する代表的な峠である。もっとも、古代からそのルートは幾度も変遷しており、現在の上信越道に近い経路を通っていた時期もあったようだ。
約五十年前に碓氷バイパスが開通する以前は、大型バスも頻繁に往来する主要道路であったが、急カーブと狭い道幅には多くの運転手が苦労したことであろう。

このあたりでは、かつてサルの群れやカモシカに出会ったことがあり、今年話題の熊の出没も懸念される。なにしろ「熊野平」という地名が残るほどの土地柄なのだ。
現在では裏道となり、また並行して旧信越本線の線路が一部保存されながら残っている。こちらも急こう配で知られた路線であるが、いずれもすでに歴史の表舞台からは退いて久しい。

本日はその碓氷峠の紅葉狩り。赤く色づく紅葉が多いのが特徴で、一年のうちでもっとも華やかな季節を迎えている。
今年は色づきもよく、時期もまさに見頃にあたった。訪れる人も多く、碓氷第三橋梁、通称めがね橋付近ではにわかに賑わっている。

華やかさはまた冬への予感でもある。どこか寂しさが漂う。花の季節のさわやかさとは異なるところだろう。
毎年楽しませてくれた景色、――来年はどのような色彩を見せてくれるだろうか。楽しみにして待つことにしたい。