都市の文脈
インテグレーションとレギュレーション
京都・高山への旅行からひと月たち、前橋の街を眺めちょっとため息をつく。
先の戦争で市街地中心部を米軍によって焼き払われ、江戸期から続く町並みを失い、また町名変更による中世以来のコミュニケーションも分断されと過去とのつながりがすっかり薄くなってしまった前橋中心部。
わずかばかり残った生糸産業の残滓であるレンガ倉庫から赤レンガ色を基調色とするデザインコードも浅さを感じざるを得ない。
まちなかの商店街も空洞化が進み店主の引退に伴い空き家や空き地が目立つようになった。再開発や新店舗建設が少しずつ始まっているがいずれも前橋でなくともどこに立っても良いようなデザインの羅列である。
前橋の文脈とはを一言で言い換えることは至難のことである。しかしこれをもう一回再構築しないとどこにでもある地方都市と同じになっていくのでは。新幹線の駅前のペデストリアンデッキのように駅名を言い当てるのが難しいのでは困る。
幸い前橋工科大学の若い卒業生たちが学んだ成果を良い方向に実行しつつある。地元の旧来の自治会などとうまく連携して前橋の歴史に立脚したデザインコードを編み出してもらうことを期待したい。