先般、「建築士と建築家とは何が違いますか」という質問を受けました。この方はすでに何棟か建築経験をお持ちでその際、工務店や設計事務所とも折衝を持った経験があります。
その答えは要約すると
1.「建築士」は建築設計監理に関する法律に定められた資格を取得もので「建築家」はこれに包含される。
2.建築士がすべて建築設計監理に従事しているわけではなく、資格取得後工事現場監督や、行政職、教職につているものいる。
3.建築設計監理職においても建築設計監理を専業としているものと建設業の一部として従事しているものとにわかれる。
4.前者は一義的には直接建築主からの委任により業務を行い、建築主の権利を守る立場にあり、後者は所属している企業の利益追求のために行動している。
繰り返しになりますがこれがJIAの基本姿勢であると思いますし、自分もこれに賛同しこの会に所属してきました。
それでは「建築家」とは何かということですがこれにはウキペディアにも書かれていることですが多分に尊敬の念が含まれていることです。
なぜ尊敬に値するのかというとまずはその優れた造形力でしょうが、この点だけでは施工会社設計部の社員や独立系でも「建築デザイナー」と言われる人たちと区別できませんね。
大建築家と呼ばれた多くの人たちは歴史的に見れば時の権力者、宗教等へ仕えることで作品を残してきましたが市民革命(日本には存在していませんが」以降、社会全般への奉仕ということが求められています。
湯浅さんが熱心に活動を牽引されてきた「えねこや」の活動のように単に直接の建築主の権利保護という観点ではなく、自らが蓄えた知見を地球規模で考える視点を持っていてこそ尊敬に値するのではと思います。
もちろん様々な条件下ではそれを最優先に推し進めることは大変難しいことではありますがいつも心に留めて向上を目指す気持ちを持ち続けることが建築家と呼ばれる条件ではないかと思います。
住宅部会の席上お名前を失念してしましましたが先輩から「建築家であるということは心の持ち方のことだ」とのことばを思い出します。
自分たち自身発展途上であること認めつつ、これまでに得た知見の使い道を間違わないよう精進していく道が建築家への道のりなのでしょう。