今日は父が包丁を研いでくれた。母が骨折の養生で家を開けてから5ヶ月がたった。未だ帰宅の目処が立たない。
その間、食事の世話をすることになり父の台所に立て怪しい手付きで包丁を握っている。
使い放しの包丁は流石に切れが悪い。林檎の皮を向いていても皮が滑ることも。
後で見ていて包丁を研ぐと言い出す。父の横で包丁を研ぐ様を注視する。
こんな時間、いつ以来だろうか。91歳になり体こそ頑強そのものだがほとんどのことが息子のほうがまさることになった。
しかし自分にはできないこともある。包丁研ぎは一度もやったことはない。
ちょっと得意そうな父を見ていてホッとする気分になる。