住宅支援機構のWEBサイトに昭和26年度版木造新築工事共通仕様書が公開されている。https://www.sumai-info.com/spec/wooden.html
すでに使用されたものからスキャンしたようで記入された文字も在り生々しい。ちなみに自分の生まれた前年。

初期の公庫融資住宅の遺構「昭和のくらし博物館」東京都大田区南久が原2丁目26−19

住宅支援機構の前身である住宅金融公庫は文字とおり住宅金融のための組織であったが勤労者層が土地建物を担保に家を建てることを支援する、つまり持ち家制度を推進するための政策組織であった。
銀行金利が今よりずっと高かった時代、低利、長期で借り入れできるとあって戦後の地方出身者を含め首都圏の住宅不足解消に貢献した。
ただし公庫で言うところの仕様書は必ずしも高級住宅の仕様でないことはJASS11と比較してみるとよく分かる。

敗戦からまだ6年、朝鮮戦争の特需で経済が上向いてきたと言っても優秀な職人が我一で戦死したりで物不足、人手不足の中でなんとか担保期間は立っていてほしいというのが金を貸す立場。
状況が好転して経済が豊かになってもこの仕様書は固定化してしまった。

住宅を設計監理、施工する上でこの仕様書が建築基準法同様最低限の規格であり設計者現場ともどももっと上を目指さなくてはと思う。