ポスト コロナの住宅設計

住宅は外部の驚異から人間の生活を守る役割を果たしてきました。感染症についても同様で昭和25年に制定された建築基準法の条文をみても当時の衛生状況がしのばれます。近年でもいくつかの感染症の流行がありながら結局準備不足により現在のような状況を迎えています。
家族といえども別々の生活圏を持っています。勤務先の業務範囲、学校を中心とした社会交流など各個人が別々のリスクを抱えています。
現在建築における課題の省エネルギーため、とりわけ機械換気に頼る方法の普及により住宅はまさに「3密」状態なのです。窓を開けて換気といっても厳冬期、酷暑期に果たしてできるでしょうか。
住宅設計においては平面計画において開放と閉鎖する空間区別、さらに機械換気やエアコンに頼らず省エネルギー化と健康確保を両立させる工夫が必要です。
現在の状況を何とか克服し、その教訓を設計にも生かしていくことが求められます。

国際化が進み産業は国際分業の時代になりました。当然人の行き来は増え、感染症もあっという間に伝播しました。その一方で物流が止まり工事にも支障が出ています。
古来より住宅はその土地土地の気候風土、社会情勢を反映したものです。使われる材料も身近なもの、日本においては豊富な木材資源などを地域の人達の共同作業で造られてきた「地産地消」という歴史があります。
情報手段の発達で外国の生活習慣を取り入れることが容易になり外国の文化と同時に住宅も随分外国の様式を表面的に取り入れられ、本来温帯性気候を主とする日本にあっては内外空間の境界がゆるい曖昧なものでしたが3密という空間が住宅にも発生しています。
ポストコロナの時代では外国とは適当な距離を保ち、地元でできること、自分でできることは自分でする。衣食住全てにおいてです。マスクが不足している折様々な手作りマスクが作られています。手を動かすこと、頭を使う事を復活できる時代とも捉えられます。
個の力が試されているのです。