
今週末はJIAの市民講座JIA建築家と考える暮らしと住まい 2019@OZONE メンテナンスを意識すれば未来が変わる 〜長く住み続けるための意識と工夫〜 のコーディネーター。準備を始めてみたもののなかなか進まず。
市民向けということだからまずJIAとは、あるいはJIA会員と建築家について挨拶代わりに話さなくてはならないだろう。
今、資格制度実務委員を仰せつかっている。これは「登録建築家」制度を運営する諸手続き、会員増強をその任務とする。
ここではたびたびUIA「国際建築家連合」基準の建築家資格制度であることが語られるがなかなか理解しにくい制度でもある。
設計監理料を報酬と呼び収入としているとはいえ建築士との違いは説明しなくてはならない。その技量の話以前に「利益相反」をまずきちんと弁えることで「建築家」と言えるということは伝える必要があるだろう。住宅においてはやはり請負側が優位になりがちだ。建築主の権利を守れるかどうかに建築家という称号が掛かっている。
一方行政や企業のように請負側にむしろ優位にたてる建築主もいる。大規模建築が主になるから建築家の立場は微妙なものになる。PFIのように金融機関が主導権を握るケースでは単なるデザイナーになってしまう。新国立競技場も建築家としては隈研吾の名前が上がるが実際には梓設計と大成建設のJVの仕事である。木材をあしらって目先を躱しているが至って面白みのない競技場になってしまった。せっかく槇さんたちがひっくり返したのに至って残念。
今回のセミナーのテーマはメンテナンス。皮肉な事に環境負荷を考えなければ家を建てないほうが良い。リノベーションしたり、修繕しながら使い続けることのほうが良い。それでは新築需要に応えられないので少しでも環境負荷の低減に配慮した設計が求められライフサイクルコストも考えれば現代における住宅の価値基準は長期使用に耐えられることも指標の一つになりえる。つまり長期間使用中の手入れの容易さへの配慮である。
建築材料や設備機器はその特性上寿命はまちまちである。これらの取り付け方の順序も重要である。
外壁の塗装の寿命は5年から10年だが塗料代よりも足場代のほうがかかるものだ。これらも設計中に考えなくてはならない事項だがメンテナンスが必要になったときに考えるのではなく、設計時に考えることを解説してもらおうと思う。
地味なテーマだが現代の住宅の価値基準の一つであることを伝えたい。
コメントを残す
コメントを投稿するにはログインしてください。