休日に付きのんびり新幹線や有料特急は使わないで横浜へ。横浜といっても田園都市線の「たまプラーザ」から徒歩15分の「2つのアトリエ展  中村高淑(建築)中村直子」に拝見に伺う。中村さんは現JIA支部住宅部会長。先般のこちらのオープンハウスにご夫婦で愛車ビートル改で遠路来ていただいた。
円熟した破綻のないディテールに支えられたキリッとした中にも楽しい生活ぶりも伺える良いアトリエだ。

たまプラーザ周辺の住宅地は古い一戸建てから最近建てられた住宅、マンション、アパートと複数の種類の住宅から成り立っている。丘陵地の高低差が町並みに変化を与えこの時期新緑とツツジが成熟した環境を一層豊かなものにしている。

ここから長津田経由町田、鶴川と移動。休日なのか、休日にもかかわらずなのかわからないがとにかく大勢の人出。都心に出ることは有っても郊外の住宅地の様子までは知る機会がなかったが確実に日本のメインストリームがここにはある。もっとも居心地が良いかどうかは別問題。

今日のもう一つの目的地は鶴川の「武相荘」を訪ねることだった。戦中戦後の日本の外交に大きな役割を果たしたとされる白洲次郎・正子夫妻の邸宅の跡である。
美術館とカフェレストランとなっている。多数の来訪者のためカフェレストランは相当待たされる見込みだし、一人で黙々と食事をする場所でもなさそうなので外からちょっと伺う程度にし、茅葺きの主屋の中を拝見する。

四つ間取りの質素な座敷と白いタイルをはられたかつての土間の構成。主なき跡はやはりその雰囲気を維持するのは大変なこと。大勢の見学者でにぎわい故人をしのぶには平日を選んだほうが良さそうだ。北側の書斎の壁に一枚の額に「無駄ある家」に目が止まった。立派な住宅論であり人生を語ったものだ。出典は「縁あって」という白洲正子の著書らしい。早速アマゾンで注文する。平成から令和への改元が目前に迫った今日、昭和という時代に大きな足跡を残した人物の暮らしの名残を追体験した。