
研修会のため上京。やはり東京は温かい。1月17日は建築に関わる者にとって極めて重要な日である。
前橋という地方都市とは全く違う様相の大手町。但し想像を超えた大地震が起きたとき、何がおこるのだろう。
22年前、震災後の神戸市東灘区の魚崎を中心にJIAの住民支援活動に参加した。
その時見聞きしたことはまさに想像を絶するものだった。
木造住宅を多く手がける立場として看破出来ないことばかり。その後の設計内容に大きな影響を与えた。
在来軸組工法は一見伝統的な構造のように見えて実際は変形限界を小さく抑えこむ工法であり、接点破壊を防ぐために補強金物が頼りなのだ。更に個室化が進んが現代の住宅では壁量の偏在が著しく、水平剛性の確保が課題になっている。
伝統工法では層間変形角を大きく取り要は倒壊しなければ良い、曲がったら元に戻すという柔軟な思考だが、高気密高断熱の現代の住宅には不向きであるのはやむを得ないところ。昭和56年以前の住宅はこの辺が頭の切り替えだできていなくて、補強金物と水平剛性の不足が不安定要素だ。熊本地震でも近年の改善が有効であったことが報告されている。
既存家屋の耐震化が話題になる。この場合構造補強は基礎から改修が必要となる。
前橋市街地のうち旧利根川右岸の前橋台地上は火山性堆積物が20mに渡って重層しており、杭打ち地業が必要になることも少なくない。
古い住宅の構造補強を杭打地業をしてそれに見合った基礎を作り直して筋交いで水平力の耐震化、床を補強して水平剛性を改善となるとほとんど床、壁、天井をバラバラにする覚悟がいる。糸魚川市の大火災に見るように密集地では一件でも出火すると大惨事となる。
地震は火災を伴う。古い家屋は経済的に余裕のない老人世帯であることが多い。市街地では防火帯をふくめ抜本的な対策が必要ではと当時を思い出す。
コメントを残す
コメントを投稿するにはログインしてください。