残念な情報あり。
かろうじて「SAAB」の名称を保っていたがついに「NEVS」となり完全に消滅する。

SAABは「スウェーデン航空機製造株式会社」の略称から来ているとおり航空機メーカーが母体であった。
武装中立国として国土に適した独特の戦闘機や輸送機のメーカーで現在はJAS39グリペンを製造中だ。
エリア88にもSAAB35ドラケンが登場する。

SAAB900とSAAB9-3に20年に亘って社用車として400,000kmに及ぶ距離を行動を共にした相棒でもあった。
初代SAAB900は五木寛之の原作で「四季・奈津子」でスクリーンに登場。
独特の宇宙船のような形状が印象的な車で実際に使用した二代目は雰囲気は残しながらもGMの影響下のおとなしいものになってしまった。

それでも美しいインパネのイルミネーションは国産車にはない独特のものでこれだけでも運転席に座って楽しいものであった。
最期は追突事故にあい、乗員を守ってくれたもののすでに多くの故障を抱えていたので未練はあったが9-3に乗り換えた。

9-3はGM製のシボレー用のエンジンで面白みは無いが排気タービンが静かにうなり声を上げつつ力強い加速が印象的であった。
非常に品質が高く、10年間に大きな故障も無く、酷使に耐えてきたがTV番組「ビフォーアフター」の撮影のため阿賀野市を往復する機会が増えついに変速機が消耗し変速が不能になってしまった。

200,000kmを走行していたとはいえエンジン他は好調で迷ったが修理費用が高額であること、すでにSAABが倒産していたことを考慮し、手放すことを決心した。
極めて操縦しやすく、かつソフトな乗り心地の優等生で乗用車としては非常に完成度の高い車であったと思う。

大が小を飲み込んでいく時代。車の面白みはなくなっていく一方である。
鉄板のプレスの限界が形態を決めていた時代と異なり、たい焼きのように型に入れさえすればどんな形状のボデイ持つくれる時代になってしまった。
CAD/CAMの進化が一方では力の流れを表現しない不細工な車が殆どとなってしまった。

懐古趣味に陥ったところで車の進化を否定することも出来ず、つまらない時代である。
夏至祭りに合わせたような今回のブランド名変更の情報。北欧の車にとって皮肉な夏至となってしまった。