JIA支部大会の行事で高崎電気館で「ここに泉あり」という古い映画を鑑賞した。
JIAと映画の接点は明日の会場である群馬音楽センターである。
群馬音楽センターは群馬交響楽団の根拠地としてアントニンレーモンドの設計により1961年に落成した。

この群馬交響楽団の創生期をテーマにした映画が「ここに泉あり」である。
終戦直後の買出し列車のシーンからはじまりバックに流れるクラシックの名曲とはうらはらな復員服姿の楽団員の姿からも地方のクラシック音楽の困難さが伝わってくる。

小学生時代、移動音楽教室を鑑賞したことがある。丸山マネージャーも同席されていたと思う。
また岸恵子がヒロインを演じたモデルとされる風岡裕子さんは後年「高崎友の家」の新築落成の折ピアノを演奏されたのを覚えている。すなわち立場が違うとはいえこの映画と同じ場所で同じ時代を生きてきたということだ。

山奥の小学校を訪問するシーンでは木造校舎が際立って立派なことがわかる。戦前、教育をいかに大切にしてきたかということが伝わってくる前職ではその木造校舎を鉄筋コンクリートの校舎に建替える仕事をしてきた。
そのときは古い校舎にはまったく目に入ってないのだが貴重なたからを壊してしまったような後ろめたさが今頃になって感じる。

木造時代の高崎駅。草軽電鉄の列車、オート三輪、等々、今はもう見られない昭和20年代の光景が次々に出てくる。群馬県の戦後を物語る貴重な映像だ。