仕事では極力自然素材と、手造りにこだわってきた。


たとえば木材は丸太を挽いてかんなを掛けると鮮やかな木目が現れる。そして徐々に色身が濃くなり、やがて褐色から灰色に変化していく。一種の劣化には違いないが、建築全体の色調もなじんで風情あるものになっていく。


ただし乾燥ひびも出るし、ねじれたり反ったりすることもある。
隙間も開く。
これらも全て時間軸に吸い込まれていく。

一方石油化学製品で組み合わされた建材は販売時点では完成度が高い。
ただし10年も経つとただ陳腐化し、疲れた印象のみが残る。

どちらがよいか価値観には個人の幅がある。
そもそもTVやインターネットの解像度では本当の味などわからない。
「のようなもの」に終始する。

人生もそうだが経年変化は許容できても経年劣化はごめんこうむりたい。