平面図を書き始める。
かつては鉛筆で図面を書いていた。
図面の大きさもA1版、製図版を傾けて立ち上がって書いたものだ。

村野藤吾はどんなにぼろぼろになっても用紙を取り替えなかったそうだ。
仕上がるころには線も霞んでしまい、「連隊旗」とスタッフは呼んでいたそうだ。
「連隊旗」とは旧日本陸軍の連隊旗がどんなに痛んでも取り替えないことに由来しているとのこと。ちなみに旧海軍の旭日旗は痛むと取り替えたそうだ。

実際トレーシングペーパーは鉛筆の筆跡はどんどん薄くなってしまう。
煙草の焼け焦げを作った先輩もいた。

鉛筆書きのころはスケール(物差し)で計りながら書くので実際のところかなり曖昧さがある。
逆に想像をめぐらせて書くことが多いアナログ世界なので柔らかいデザインが可能だった。
ぐりぐり
一方CAD、コンピュータでの作図は全て数値入力である。
曖昧さは排除される。
コピー&ペーストで効率が上がる良い面もあるが画一的になる傾向は否めない。

いつも頭を柔らかくするためにはやはり鉛筆を握ってフリーハンドで書く習慣も捨てがたい。