悲報である。
サーブがとうとう廃業するらしい。N900・N9.3と15年間乗り継いだ。
もちろん現役で一年に25000㎞近く走り待っている。
特筆すべき性能があるわけではないがなぜか暖かみのあるデザインは換えがたいものがある。

最初のN900はGMに経営が移った後の車でオペルのベクトラと共通するパーツであったが故障が少々多く、まず最初にエンジンのヘッドカバーのガスケットが不調でオイル漏れ、おかげで工場でDOHCのパーツをこの目で見ることができた。その直後に輸入会社がヤナセに移り修理工場を知人の薦めで前橋のウイングに変更する。

電球の球切れの早いことやエンジンの不調を示すSIDが点灯するなどはらはらさせられる。結局燃料ポンプ交換、マフラー交換、ラジオ故障、エアコンつまみの再三の欠損、等々世話を焼かせた。それでもショックアブソーバをビルシュタインに交換したりして楽しんで11年間つきあうことに。

車検を目前にした8月、4tトラックに追突される。相手はヘッドライトが割れたり、バンパーがボディーに食い込んだしたがこちらはバンパーがボディー側に食い込んだだけで自走可能。幸い人体にはほとんど後遺症は出ずにすむ。

そんなさなかウイングから電話で1年落ちの5000㎞も走っていないサーブが出たが変えないかという連絡が入る。これも縁かと思い現在のN9.3に変える。
そんな思い出の詰まるサーブである。北欧の小さなメーカーの生きる道は現在の世知辛い世の中には無いようである。ボルボも経営が中国企業に移るとのこと。

SAABとは日本風に書けば「スエーデン航空機製造株式会社」とのこと。
先祖は戦闘機からの続き番号のSAAB92である。航空機では独創的な戦闘機を送り出してきたメーカーで自動車にも新しい技術を次々に開発してきた。
いまはEVなどに技術開発の目が向けられている。しかしそこには自動車が持っていたうきうき感はない。

サーブとともに過ごしてきた15年間。記憶をたどりつつ時間の流れを実感する。