アントニン レーモンドは外国人建築家としておそらくコンドル、ライトと並んで著名な一人だ。特に群馬県人には高崎音楽センターの設計により知名度が高いはずだ。もっとも建築関係だけかもしれないが。
この音楽センターも老朽化を理由に取り壊しが取りざたされている。
ヨーロッパなどのコンサートホールはずっと長い歴史を誇っているのにやはり洋楽の歴史の浅さなのか使いこなすことへのこだわりが足らないのか。
チェコ人の建築家はウイーンをはじめ多くのコンサートホールのことは熟知していたと思うがそのうえでこの独創的なホールを設計したのだと思う。
ものの無い時代の質素にして大胆な空間は今多くの豪華なホールと比較してしまうと見劣りがしてしまうのは仕方が無いこと。
しかし市民オーケストラとして先人が手作りで育ててきた群馬交響楽団の根拠地であり、市民運動がきっかけとなって建設に至った経過を考えるとこのホールの存在意義は大きいはずだ。ぜひ長く活躍して欲しいと思う。

中学生の時、初めてこのホールに入った。
新聞などに掲載された写真は当時前橋に有った群馬県スポーツセンターのファサードにも似ていてまさか実物があれほどまで豊かな空間であるとは全くわからず、大きな衝撃を受けたものだ。折板構造のコンクリートがむき出しで、ラワンの合板の反射板が組み合わされた簡素な仕上げも潔かった。
このホールの体験が建築の道へ進むきっかけとなった。
今日久しぶりに訪れる。憲法記念日でホールには似つかわしくない賑わいだが、市民運動から生まれたホールとすればこれも自然な姿か。

高崎市美術館や、哲学堂、音楽センターとゆかりの施設で展覧会が開かれている。
展示物から戦後の、特に住宅に与えた影響の大きさを感じた。
時間を作って軽井沢の教会やペイネ美術館、日光の旧イタリア大使館別荘など訪ねてみたい。