桂離宮を参観のため京都に行く。3年ぶり。
3度目の参観となるが、どうせなら桜の季節と正月に申込み運良く桜の咲く時期に日取りが決まったが今年は春の訪れが早く、開花予報にやきもき。
あいにく参観の当日は雨天となったがしっとりとした情感あふれる桂離宮となった。最初に訪れたのは30年も前のこと、このときも雨だったのでかえってそのときの記憶がよみがえる。

公家社会の建築とはいえ別荘ということもあり、書院はきりっとした表情であるが庭に点在する茶室群はくだけた表情の建築である。土壁の色が意外と鮮やか。ここまでの色は住宅ではなかなか使えない。主屋の白い壁と黒い柱のストイックな表情とは異なり、自由自在な遊び心に溢れている。例の市松模様のふすま紙も大胆な柄が際立つ。

園路を進むたびに切り替わる風景は様々意図が隠されていることを見抜くのがたいへん。見せたり、隠したり、庭の作者の巧妙な手腕を感じる。
書院棟に上がれないのは残念なことだが参観者のお行儀を考えればやむ終えないことかもしれない。

前日には市内の「吉田家住宅」を訪ねる。大きな商家を住ながら保存をされている。京の座敷や庭の案内を御当主から受ける。
大きな家を維持していくのは大変なことだが、洗練された京文化をあちこち感じることが出来た。
昼食は「御料理光安」とする。こちらは庶民の住宅を手入れして若い店主が営む和食の店、料理がとてもやさしい。
「鶴屋吉信」で中村外二の施工である茶店で一休み。洗練された数奇屋普請の仕事だ。夕食まで円山公園から清水寺の方まで歩く。あまりの人手の多さで寺直前で引き返す。夕暮れの東山をくだり「祇園ランブル」で夕食。現在もお茶屋さんと同居の店だ。
食後、白川沿いの満開の桜の下を見上げながら鴨川まで歩き、木屋町三条の「Times」による。古びたとはいえ高瀬川の水面と絶妙な高さの間合いはいつ来ても楽しい。桜の花びらが高瀬川を下る。

当日朝は瓢亭別館で朝食をとり、蹴上の都ホテルに立ち寄りインクラインの桜並木で桜吹雪に遭遇。京の桜の季節が終わるのを感じる。
南禅寺の桜はすでに名残りの風情。それでも山門を取り囲む桜の古木との対比は見事。

桜の京都を満喫する。