カメラ運用においてネックストラップは不可欠な装備だが、同時にリスク要因ともなり得る。テーブル上にカメラを置いた際、ストラップの位置次第で機材が引きずられ落下しかねない。私自身危うく事故に至りそうになった経験を持つ。また、ストラップ取り付け部がSDカードスロットやUSB端子付近に配置されていると、交換や接続の際に干渉し操作性を損なう場面も少なくない。

こうした背景から今回導入したのが、中国ブランド ULANZI製のクイックアクセスが売り物のネックストラップ製品。近年、アクセサリー市場で存在感を増している中国製品の、外箱に大きく印刷された「MADE IN CHINA」の文字は、自信の表れである。

付属のストラップも使用可能だが、海外旅行にはいつも行動を共にしたかつての愛機 ミノルタα7700i純正ストラップを探し出し組み込む。ふと旅先での出来事を思い起こす。30年の時を経て最新のα7Ⅳに組み合わせることで、往年のαシリーズの意匠を現行機に継承するかのような趣を与えている。これは単なる換装以上に、時間軸を超えたアクセサリー活用の一例といえるだろう。

カメラ底辺にある三脚などの接続用のねじ穴を利用するのでテーブルに置いた時にやや不安定だ。一方三脚システムはアルカスイス規格に統一しているため、今回のパーツも難なく適合。雲台付属のカメラ側部品はやや小ぶりで頼りない印象もあるがカメラ+レンズでも1.32Kgなので強度不足はないであろう。治具の固定はクランプ止め方式のためワンタッチ性には欠けるが、その一方で三脚運用時には確実な締結が可能となり、実用面では安心感を得られる。

導入直後の段階ではまだ実戦投入の機会は限られるが、システム全体の合理化と操作性向上に寄与することは間違いない。唯一の懸念は、機材構成がさらに増加することで携行性がやや損なわれる点だ。しかし、それも含めて装備を整える過程は、カメラ趣味における大きな魅力のひとつである。